「広告」と「広報・PR」とを明確に区分することは、実は大変に困難なことである。ここに「宣伝」が加わると、その困難は更に増す。「広報」と「PR」に関しても、それらを同じと考えるか別の領域として区分するかについて、様々に見解が分かれる。何れもコミュニケーションに関連する用語ではあるが、それらの明確な定義は非常な困難さを伴う。

1960 年、ミシガン州立大学教授ジェローム・マッカーシー(JeromeMcCarthy)は、『マーケティングの基本』(Basic Marketing)の中で、マーケティングの戦略展開は 4 Pにあるとの理論を発表した。このマッカーシーの 4 P理論を、マーケティング研究の泰斗であるノースウエスタン大学ケロッグ大学院教授フィリップ・コトラー(Philip Kotler)等が認めるに及んで、4 P理論は、全世界のマーケティング研究家や実務家の合言葉として、ビジネス界に敷衍していった。
4 Pとは、マーケティング戦略立案に際して、①製品戦略(ProductStrategy)②価格戦略(Price Strategy)③流通戦略(Place Strategy)④販売促進戦略(Sale Promotion Strategy)が基本戦略としての必須の戦略であるとする理論である。マッカーシーは四戦略の頭文字を取って、「マーケティングの 4 P」と命名した。本来なら流通を意味する英単語は Distributionであり、流通戦略は Distribution Strategy と呼ばれるべきであるが、頭文字をつなげてみると「マーケティングの PPDP」となり、いかにも語呂が悪い。そこでマッカーシーは、語呂合わせのために流通を「Place ofDistribution =流通が行われる場」と言い換え、4 Pに揃えたというのが実情である。PPDP ではなく 4 Pとしたことで、誰もが記憶しやすい理論となり、急激に普及することとなる。ネーミングの成功例ともいえる。
マッカーシーは、販売促進戦略を、さらに四つのサブ戦略に分類した。
①広告戦略(Advertising Strategy)②広報・PR 戦略(Public RelationsStrategy) ③狭義の販売促進戦略( Sales Promotion Strategy)④セール
スマン戦略(Salesman Strategy)の四サブ戦略である。この様に「広告」と「広報・PR」とは、マーケティング戦略展開上の重要なコミュニケーショ
ン戦略として、互いに隣接した位置関係に置かれることとなる。マーケティング活動が大量生産・大量販売・大量消費システムを前提としていた 1980 年代までは、コミュニケーション戦略における広告戦略の重要性は、広報・PR 戦略の重要性をはるかに凌駕していた。 特にマスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)対象の広告戦略はその効果が大きく、技法も発達し、それにつれ大学・研究機関での研究も拡大した。
1990 年代以降は、モノ余りの時代、経済活動の低迷、製品や流行のライフサイクルの短縮、生活価値観の変化など、様々な要因によってマスメディアによる広告が嘗てほどは効かなくなり、利用される広告メディアもインタラクティブ・メディアや交通広告メディア、屋外広告メディアなどを中軸とするセールスプロモーション・メディアにシフトしてきている。
一方、広報・PR 戦略に対する関心が急速に高まってきた。株式・証券市場の大衆化が進んだ結果、IR(インベスター・リレーションズ=対投資家 PR)の重要性が注目され、21 世紀に入ると、頻発する企業不祥事への対策としての危機管理が評価され、終身雇用を基本としてきた日本的経営における雇用形態の変化は、社員に対するインターナル・コミュニケーションズの役割を経営者に認識させるなど、これまで以上に広報・PR を総合的に導入する必要性が高まってきた。こうして大学に対する広報・PR 分野の研究拡大と人材育成が要請されるようになり、近年における大学の「広報・PR」講座の増加現象となって現れてきている。

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